金融システム 2008 3 15
「短期金融市場」というテーマで、
このホームページに記事を書いたのは、2007年10月7日でした。
これは、あくまでも、より多くの人に、
金融システムというものに興味を持ってもらおうとして書いたものです。
そういうわけで、中身を面白く、小説風にして書いたのです。
しかし、こうした「空想の小説」よりも、
現実の世界の方がより迫力があると思える、最近の金融市場でした。
もちろん、これは、日本の金融市場のことではなく、
海外の金融市場のことです。
短期金融市場 2007 10 7
何となく、堅苦しいテーマとなってしまいましたので、
専門家からは、異論が出るかもしれませんが、
話を面白く、楽しく進めましょう。
そういうわけで、多少、デフォルメします。
銀行には、お金があるか?
こう聞くと、「銀行には、お金が、たくさんある」という答えが返ってきます。
しかし、「銀行には、お金がない」という答え方もあるのです。
極端なことを言えば、銀行に、お金がないのは、自然であると言えるでしょう。
たとえば、あなたが銀行家だとします。
そして、預金を100億円集めたとします。
この100億円を、大事に金庫にしまっておくと、どうなるか?
もちろん、銀行は、赤字になります。
預金には、利子をつける必要があります。
その利子は、あなたのポケットマネーから出しますか?
そうすると、あなたは、破産してしまいます。
また、銀行員には、給料を支払う必要もあります。
だから、100億円を大事に金庫にしまっておくと、
銀行は、赤字になってしまいます。
この100億円をうまく運用して、せめて110億円ぐらいにしたい。
なるべくならば、全額、運用したいが、
日々の「窓口での支払い」もあるので、「ある程度の現金」は残す必要がある。
しかし、この「ある程度の現金」は、なるべく少なくして、
より多く運用資金に回したいというのが、投資家の本性でしょう。
そういうわけで、銀行には、「お金がない」ということも、あり得るのです。
でも、世の中、便利にできているものです。
銀行同士、同じような事情を抱えていますから、
「お互いに助け合いましょう」ということになります。
その助け合いの場が、短期金融市場と言えるでしょう。
「ある程度の現金」と言っても、
中小の銀行に比べれば、大銀行の場合、巨額の現金になるでしょう。
もちろん、中小の銀行だって、たまたま手元に巨額の現金がある場合もあるでしょう。
こうした現金を、銀行同士で融通すれば、当座の資金に困ることはないでしょう。
ただし、どこの銀行で資金が余っていて、どこの銀行で当座の資金が不足しているか、
なかなか、うまく、かみ合わない、つまり、うまく、お見合いができない。
そういう場合もあるでしょう。
そこで、仲人が、つまり、仲介人が必要となるのです。
それが、短資会社という、あまり聞きなれない会社です。
これで、役者が全部揃ったから、万事解決というわけには行かなくなったのです。
最近まで、日本では、量的金融緩和策というものがあって、
要するに、市場に資金がジャブジャブ溢れているような状態でしたから、
「短期資金(当座の資金)なんて、いつでも調達できる。
短資会社なんて不要かもしれない」という雰囲気があったのです。
そういうわけで、「短期資金の調達は、新人の仕事」とまで言われるようになったのです。
「いや、派遣社員でも、できる」と言う人もいたかもしれません。
しかしながら、こうした仕事は、本来は、ベテラン行員の仕事だったのです。
当座の資金をやり繰りするのは、意外に難しいでしょう。
家計だって、ベテランの主婦だったら、うまくできても、
新米の主婦では、当座の資金のやり繰りに失敗して、
次の給料日まで、お金がないので(定期預金はある)、
実家の母親(大銀行?)に、当座の資金を借りることもあるでしょう。
日銀が量的金融緩和策を止めた以上、そして利上げが続けば、
短期金融市場で、資金が窮屈になることがあるかもしれません。
場合によっては、「あの銀行は、経営が怪しい」という風評が出ると、
いくら仲人役の短資会社が頑張っても、
「資金の出し手がいない」という事態もあるかもしれません。
今のところ、日本では、そういう事態は想定できないですが、
外国では、あり得るか、実際にあったかもしれません。
本来、資金はあっても、当座の資金(現金)がない。
あるいは、変な噂が出回って、預金者が窓口に殺到して、預金を引き出す。
銀行は、通常、預金者から預かった資金を運用に回していますから、
手元に現金はない、さあ、どうする?
手っ取り早い方法は、窓口を閉めてしまう。
でも、これをやると、銀行は倒産してしまうかもしれない。
そこで、次善の策を取ることになるでしょう。
銀行の裏口を見ると、中央銀行の現金輸送車から、現金を運び入れていた。
もちろん、こうした話は、最初に書いたように、
読者が興味を持つように、デフォルメして書いてあります。
そういうわけで、事実と違いますので、注意してください。